国の勢いが「YEN」のヴァリュー


年末に帰省し、昨晩も今日も酔っ払いです。海外からの友人夫婦を田舎に招待し、家族そろって大晦日を迎え、今日は初詣 ・・・ ですが、私は除夜の鐘の音を聞かずして寝床に入り、友人夫婦は英語をしゃべらない私の両親らと年越しソバを食べながらHappy New Year! 今朝はやはり弟の車で皆出かけて、私は一升瓶を抱えながらのお留守番でした。
それでも、誰もいない午後のひと時では、毎年恒例となってるコンビニで買った主要全紙とスポーツ新聞をコタツの上に広げ、「今年の展望」なんかの記事やコラムを読み流していたところです。
私と違って、新聞も読む時間なく多忙に過された方のために、日経新聞一面トップを埋めた「YEN漂流」を、抜粋してご紹介します。国の勢いが「通貨」のヴァリュー(value)そのもの、ってことが良く分かる記事ですよ。
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「社長、今日は日本人ばかりでガッカリだわ」 ―― 極東の地・サハリンの日本料理店での接客係のぼやき ・・・ 1998年夏・通貨危機に見舞われたロシアは国際通貨基金(IMF)の管理下に入った。この日本料理店がオープンしたのがその直前。 食材を日本から円で買い付け、お客からルーブルを受け取る料理店の経営を、ルーブル暴落が直撃した。「円で払うよ」 という日本人の常連の優しさを、オーナーは身にしみたそうです。
月日は流れ2007年秋。この日本料理店は裕福そうなロシア人でにぎわう。サハリンプロジェクト関連の建設・エネルギー企業の社員や高級官僚たちだ。刺し身盛り合わせ600ルーブル(2900円)、ステーキ1250ルーブル(6100円)。大食のロシア人客は気前よく次々と注文する。
この十年、原油高で潤ったロシアは経済危機を脱却、IMFからの借金も05年に完済し、ルーブルも安値から約四割上昇した。円安・ルーブル高でサハリンに住む日本人の生活は暗転した。日本人客の多くが注文するのは250(1200円)のカツ丼など低価格メニュー。平均客単価はロシア人の1/4 ―― そこで聞こえるのが冒頭の言葉。
05年に東京・日本橋に開業したマンダリンオリエンタル東京。地上36階、ミニチュアのような日銀本店を見下ろす最高級スイートは一泊約100万円。ユーロ高の欧州や原油高に沸く中東など外国人客が多い。この値段でも「外貨換算なら欧米より安い」と驚くという。一方、ロンドンを訪れる日本人は、地下鉄初乗り4ポンド(950円)、外食代平均39ポンド(9300円)に嘆く。長いデフレと低成長、さらに円安の影響もあって、日本の購買力が縮小した象徴だ。
さらに、弱い円と日本経済は外交力にも影響し始めている ―― 80年代、円高もあって日本は援助大国への道を進み、ODAは00年まで十年連続で世界一位。でも06年には米英に次ぐ三位に転落、経済協力開発機構(OECD)推計では為替相場が現行水準でも10年には六位に落ちる。円安・ユーロ高が進めば欧州がさらに力を増し、日本はかすむ ――。
また、「人口が減って経済規模が小さくなっても、国民一人当たりの豊かさは変わらない?」 なんていう投げかけも ・・・ 日本の一人当たりGDPは、映画「三丁目の夕日」のころの1960年当時は米国のわずか16%。その後の高度成長と円高で70年代後半には7割に、87年には米国を抜き、米国で日本脅威論が強まるきっかけにもなった。
でもバブル崩壊後の低成長と最近の円安で、01年以降は再び米国が日本を上回り06年で日本の一人当たりGDPは米国の78%に低下した――。20年には54%まで落ち込むと試算。円ドル相場が変動相場制に移行する直前の78年ごろの水準だ。
かつてG7では首位だった日本の一人当たりGDPは、06年にはOECD加盟国で18位まで低下した。各国の成長率や為替相場の動向にもよるが、一人当たりでみても日本は貧しくなっていく可能性が強い ・・・ “これからの日本、どうする!?” ひとりひとりがポジティブな将来像を描いていかなくては、まさに「YEN」と共に漂流してしまいますよネ。


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