年内にリセッション?


ゴールドマン・サックスが顧客向けリポートで、「米国経済が年内にリセッション(景気後退)局面に陥る」 との見通しを示したそうです。(日経朝刊・10日) それでも、「目からウロコの投資塾」(日経夕刊・9日)に 「日経平均の年間パフォーマンスを十二支別に平均すると、ねずみ年は上昇率が40%で十二支中第1位」 と紹介され、チョッピリうれしくも。
さて、今年元日から日経新聞朝刊一面に連載の 「YEN漂流」 ・・・ 私は毎日楽しみにしてますが、今日はまた、証券や外国為替証拠金取引を取り扱う会社と個人投資家に、一読をお奨めしたい内容でした。 そのタイトルは 「金融ビッグバン不発――10ミリ秒 対 2秒」 ・・・ 一部抜粋してご紹介するとともに、付随して外国為替証拠金取引の改善点を提起します・・・
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“取引速度で惨敗” ・・・ 「アルゴリズム取引」―― コンピューターが刻々と変わる相場を読み、世界の市場で最も効果的な売買のタイミングと発注額を判断し自動的に数千銘柄の大量注文を瞬時にさばく――。東京証券取引所の売買システムは、注文を出してから取引完了までの時間は2秒。
だがこんな取引所は世界の有力市場では日本だけ ―― ロンドン証取の処理速度は東証の二百分の一の10ミリ秒、ニューヨーク証取は数ミリ秒。千分の一秒単位のスピード競争を繰り広げている。東証は来年導入する新システムで処理速度を40ミリ秒に縮めるが、すでに世界標準はミリ秒の次の 「マイクロ秒」 になっている公算が大きく、「日本の投資家は世界標準に取り残されている認識が薄い」 と指摘――。
ロンドンでは、日本がバブルの入り口にあった86年にビッグバン(金融大改革)を断行 ―― 日本も十年遅れでビッグバンを掲げたが、銀行の不良債権処理に追われ改革も失速、東京市場は地盤沈下 ―― 90年の東証上場企業時価総額は欧州市場全体の1.5倍だったが、今や四分の一に縮んだ――。
沖縄県名護市 ―― サトウキビ畑の真ん中に、巨大な三棟の建物がある。02年に鳴り物入りで始まった 「沖縄金融特区」 の施設。税優遇や家賃補助を売り物に国際金融センターを目指したが、今や金融機関のコールセンター。「金融センターを、地域振興策の感覚でやっても無理」―― 法律事務所などインフラが沖縄には決定的に不足していた。地域振興といえば、反射的に公共事業でハコ物づくりとなる日本では、金融センターですらダムと同じ建造物に姿を変える――。
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・・・ 薄型テレビは画面の大きさや厚さをめぐる競争で、今では150インチのプラズマや3ミリの有機EL・TVが出現するなど、消費者の購買意欲を誘ってます。ところが外国為替証拠金取引では、株式のネット取引よりも後発でありながら、十分な余剰資金を生む前に手数料無料化なんていう無謀とも思える競争に突き進んだことで、個人投資家が目に見えて実感するプラットフォーム(取引システム)のバージョンアップ化は進んでいないように思えます。目新しいといえば、昨年あたりから出回り始めた 「システム売買」 くらい!
外国為替証拠金取引業界は、「顧客資産管理の徹底」 なんていう基本的な内部管理システムはさっさとマニュアル化し、それができないところには当局が早めに市場退場を促したうえで、取扱会社は正当な手数料の徴収スキームを再構築し、プラットフォームの開発に時間と人員配置の充実を図る施策を講じてほしいものです。


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