隠された収益≠円高で目減りの悲劇


今朝UPした 「金融庁殿、4つ目のリスク忘れてませんか?」 の “Part2″ として、ほんのチョッピリ具体的にBlogしますね ・・・ 朝のBlogからつづく (Part1を先に読めば、話の筋がより明快に!)
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・・・ 顧客がユーロ/ドルを 1.5300 で「ユーロ買い・ドル売り」のポジションメイクをし、1.5350 で決済すると、1ユーロあたりの為替差益は 0.0050ドル ですよね。
仮に、10万ユーロでの取引であったのなら、$500 [=$0.0050×100,000] の利益を得ることに! ・・・ 顧客口座には、ユーロ/ドルの決済と同時に、そのときのドル円の実勢レートで計算のうえで、”円” が口座に反映されますよね。仮に、1ドル=102円70銭であれば、51,350円 [=102.70円×$500] になります。
そこで、取扱会社が$500を “ドル” のままで保有したならば、その時点から 「為替変動リスク」 を背負い込むことになります。仮に、”円高” が進み1ドル=100円00銭で “円” へコンバートする羽目になった場合、$500に対して 50,000円が 「円口座」 へ反映されることになりますよね。すでに顧客へ支払った 51,350円 との差額は、まさに取扱会社の損失となります。
もちろん、顧客は一人だけってことはありませんよネ! 仮に、100人の顧客が同様な取引をしたら、マイナス135,000円 [=(50,000円-51,350円)×100人] ・・・ 実際には、取引量も顧客数も、そしてスワップ金利はこれ以上に膨大であるわけですから、言い方を変えると 「ノストロ・リスク」 は単なるリスクだけではなく、大きな “収益” にもつながることがお分かりいただけたのでは!? ・・・ FX業界は、国内輸出企業と同じように、円安になれば利益が膨らむ “収益構造” の業界ともいえますネ。
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(09日午前のBlog)
― 金融庁殿、4つ目のリスク忘れてませんか? Part1 ―
“4つ目のリスク、忘れてませんか?” ・・・ 昨日のBlogでお約束した、「4つ目のリスク」 とは、プリンシパル(principal)といわれる外国為替証拠金取引(FX)する取扱会社でもなかには気づかずにいる、当局もたぶんチェックしていない? ・・・ 「ノストロ・リスク(nostro risk)」 のこと。 
これって、「どんなリスク?」 かというと ・・・ 顧客はFX取引する会社に、通常 「円口座」 を開設してますよね。 証拠金として “円” を振り込んだり、取引の為替差損益やスワップ金利・手数料など、すべて “円” で決済されてます。 
たとえば、顧客が 「ユーロ/ドル」 の取引で為替差益を得たとします。決済と同時に利益のドルは円に換算された上で、顧客の円口座に反映されますが ・・・ さて、取扱会社がヘッジ先金融機関に設ける資金口座は 「円口座?」 それとも 「ドル口座?」 ・・・ もしも 「ドル口座」 であるなら、顧客が行ったユーロ/ドル取引でヘッジして生じた差益は、”ドルのまま保有” することになりますよネ! 
取扱会社は、いずれは事業資金口座および顧客資産口座に利益を組み戻し、反映させることになるのですが、そのときまでドルを保有するのか? ・・・ 円にコンバート(convert)する時間的差はあるものの、ドルを保有してる間は 「為替リスク」 が伴うことになります。 これが 「ノストロ・リスク」 ・・・ 決済と同時に、円口座へ機械的にコンバートされているのであればリスクは最小限に収まりますが、取扱会社はハイリターンを求めようとドルを保有することも・・・。
取扱会社のトレーディング・モデルが “ストレートプロセス” であろうと、”カスタマーディーラー” が介在しようと、リスクマネージメントでコントロールできていないと、「大勝ち」 にも 「大負け」 にもつながる “4つ目のリスク” の存在を侮ってはいけませんネ!
・・・ってことで、実は、「4つ目のリスク」 は 「隠れた4つ目の収益源」 である、というディスクロージャーでした! ・・・ なぜこのことをBlogしたかというと、取扱会社は 「4つ目のリスク≒収益」 を把握していなければ “ヘッジ先丸儲け!?” また、当局による検査項目に当該事項が入っているのかな? と疑問に思ったもですから・・・。
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[ 自己資本規制比率のベーシックな計算式 ]
固定化されていない自己資本 ÷ リスク相当額(*) = 自己資本規制比率
(*) (a)市場リスク=大抵 “0″(ゼロ) で報告 (b)取引リスク=キャッシュの預入先金融機関やヘッジ先の格付けによって1.2~25%を乗じて計算 (c)基礎的リスク=営業費用の3カ月分


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