スプレッドの必要性とFXの危うさ


今日の日経ヴェリタス “FXの光と影” で、外国為替証拠金取引(FX)マーケットを面白い表現で解説してました。
まず、スプレッドを 『仕入れ値と卸値の差』 と置き換えて語訳し、「インターバンク市場から通貨を調達する仕入れ値と、顧客に渡す卸値の差額でそのまま業者の利益になる」 としたうえで、その利益を 『第2の手数料』 と披露。
そして、日銀の「本邦外為証拠金取引の最近の動向(PDF)」から、「FXの口座数は1年間で2倍の50万弱に増加、取引高も08年1~3月期で230兆円と2年前に比べて4倍に膨らんでいる」。 また、矢野経済研究所の調査(PDF)から、「FXの認知度は80%超に達してるものの、口座数はネット証券のざっと10分の1。 市場の整備が進めばFX人口の拡大余地はまだ大きい――」
さらに、業界関係者の話として、「ネット証券も大手5社に集約した。 FXも早晩5~10社に淘汰される」との推測も紹介したうえで、「生き残るには価格競争よりも顧客からの信頼獲得が重要。 経営の透明性やシステムの安定性を売り物に――」 と未成熟のFX業界で120社強も乱立する現状を解説してました。

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・・・ 初めて “FX取引” に触れる読者には分かりやすかったコラムだったかもしれませんが、ちょっと違和感も感じちゃいました。 そもそも 「スプレッドゼロ」 は、FX取引が相対で取引される金融商品であるからこそ “あり得る話”(*1) であって、FX業者が複数の金融機関からプライスフィードを受け、システム的に問題がなければ、無理をしなくてもスプレッドゼロ(いわゆるチョイス・プライス) は自然に形成できるもの。
ただ、「スプレッド」 はヘッジ取引する際に、リスクを低減するために必要な “開き” であり、「そのまま業者の利益」 につながるほど単純ではありません。 むしろFX業者が投資家に常時提供する “BIDとOFFER” レートは、インターバンク市場のプライスに限りなく近づいてるように思います。 そのインターバンク市場、最近の金融不安から銀行間のライン(与信枠)の設定も厳しくなってるでしょうから、チョイス・プライス多発? リバースしてたりしてね?
注意を払うべきは、スプレッドが狭いことは投資家にとっていいことでも、「誰もが売りだ! or 買いだ!」 という為替相場の流れの中で、スプレッドを “広げる” ことなく一定のスプレッドを保とうとするFX業者は、どこかで無理をしてると見るべきでは(>_<) ・・・ 「二つのゼロ」(09/10Blog投稿)でも指摘しましたが、もともと取引レートはプラットフォームに表示されていても取引(約定)量には限度もあり、”スプレッドゼロ” を実現するためには、ある程度のボリュームが確保できなければ利益はでるはずもなく、”薄利多売” ができるスキームが整わなければこのビジネスモデルは成り立ちません。(*2)  あまりに猛スピードで “手数料無料・スプレッドゼロ” へ突き進んでしまったFX業界のゆがんだ収益構造に、あらためてどこか危うさを感じちゃいますね┐(-_- )┌☆

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「スプレッド・ゼロ ≠ チョイス・プライス」の仕組みを解説 :
(*1) FXカフェ談話室 「トリック!あるプライス・無いプライス」 09/10投稿
(*2) FXCAFE®NET 『FX College』 のQ&Aも参考にしてみてください!
Q : 同時に 「スプレッドZEROと手数料ZERO」?
Q : どうしてスプレッドを “ゼロ” にできるの?



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